2級FP技能検定(2022年9月実施)解答・解説 問題10~12
問題 10
中小企業の資金調達の各種方法と一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.私募債は、少数の特定の投資家が直接引き受ける社債であり、企業が資本市場から直接資金を調達
直接金融)する手段の1つである。
2.信用保証協会保証付融資(マル保融資)は、中小企業者が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証するものであり、利用するためには、業種に応じて定められた資本金の額(出資の総額)または常時使用する従業員数の要件を満たす必要がある。
3.ABL(動産・債権担保融資)は、企業が保有する売掛債権や在庫・機械設備等の動産あるいは知的財産等を担保に資金を調達する方法であり、不動産担保や個人保証に過度に依存することなく資金を調達できるというメリットがある。
4.インパクトローンは、米ドル等の外貨によって資金を調達する方法であり、その資金使途は、海外事業の展開・再編に係るものに限定されている。
正解 4
1:正しい。私募債は、公募債よりも発行手続きが比較的容易であることから、中小企業の資金調達方法として利用しやすい債券です。
2:正しい。信用保証協会が金融機関に対して債務保証をすることで、中小企業が融資を受けやすい仕組みとなっています。
3:正しい。不動産などの資産を保有していない中小企業でも、事業規模に応じて融資が受けられる仕組みとなっており、題意に沿っています。
4:誤り。インパクトローンは、外貨建てで融資を受ける資金調達方法です。期間・金額・返済方法の定めがなく、資金使途も自由です。
円高時には為替リスク対策として利用されることがあります。
使途が限定さ入れているものとして、タイドローンがあります。
問題 11
生命保険の保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.保険料は、大数の法則および収支相等の原則に基づき、予定死亡率、予定利率および予定事業費率の3つの予定基礎率を用いて算定される。
2.保険料は、将来の保険金・給付金等の支払い財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成される。
3.所定の利率による運用収益をあらかじめ見込んで保険料を割り引く際に使用する予定利率を低く設定した場合、新規契約の保険料は高くなる。
4.保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも多かった場合、費差益が生じる。
正解 4
1:正しい。大数の法則および収支相等の原則に基づき、3つの予定基礎率を用いて算定されます。よって題意に沿っています。
2:正しい。保険料は、純保険料と付加保険料で構成されています。よって題意に沿っています。
3:正しい。予定利率を低く設定する場合とは、運用により得られる利益が少ないと判断した時です。利益が少ない分、保険料が高くなる要因になります。よって題意に沿っています。
4:誤り。費差益は、見込んでいた事業費よりも実際にかかった事業費が少なかった場合に生じます。費差益は、契約者に支払われる配当金の財源になります。
問題 12
生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない
特約については考慮しないものとする。
1.変額保険(終身型)の死亡保険金は、運用実績に応じて増減するが、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証される。
2.収入保障保険の死亡保険金を一時金で受け取る場合の受取額は、年金形式で受け取る場合の受取総額よりも少なくなる。
3.生存給付金付定期保険では、被保険者が死亡した場合、保険契約上の死亡保険金額からすでに支払われた生存給付金の額を差し引いた金額が死亡保険金として支払われる。
4.定期保険特約付終身保険(更新型)の定期保険特約を同額の保険金額で更新する場合、更新に当たって被保険者の健康状態についての告知や医師の診査は必要ない。
正解 3
1:正しい。変額保険の死亡保険金は、運用実績によって減少した場合でも、基本保険金額は保証されますので、題意に沿っています。
2:正しい。収入保障保険は、その名称のとおり、遺族の生活を保障することが目的の保険です。年金形式で受け取ることで保険会社の収益が確保できるため、運用できない一時金受取の場合は、受取金額が減少します。
3:誤り。生存保険金付定期保険は、一定期間ごとに生存保険金を受け取ることができる保険です。生存保険金を受け取ることが前提となっているため、その支払額によって死亡保険金額が変わることはありません。
4:正しい。基本契約は終身保険ですから、健康状態の告知などは終身保険として行っています。定期保険特約の更新の際には、更新時の年齢が高くなっていることから、特約保険料は高くなります。