2級FP技能検定(2022年9月実施)解答・解説 問題52~54
問題52
みなし贈与財産に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.契約者(=保険料負担者)および 被保険者が父、死亡保険金受取人が子である生命保険契約において、父の死亡により子が受け取った死亡保険金は、子が父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる 。
2.委託者が父 、受益者が子である信託契約を締結し、その効力が生じた場合において、子がその 適正な 対価を負担しなかったときには、その信託に関する権利 は、 原則として子が 父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
3.子が父 から著しく低い価額の対価で土地を 譲り 受けた場合には、原則として、 その相続税評価額と支払った対価の額との差額を限度に 、子が 父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
4.離婚による財産分与により財産を取得した場合には 、その価額が婚姻中の夫婦の協力によ って得た財産の額等の事情を考慮して社会通念上相当な範囲内であったとしても、 その取得した財産は 、原則として贈与 により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
正解 2
1:誤り。契約者と被保険者が同一の生命保険契約において、死亡保険金受取人が受け取った死亡保険金は相続税の課税対象となります。死亡保険金の非課税上限額は、500万円×法定相続人数です。
2:正しい。信託契約では、委託者、受託者、受益者の3社による契約となります。委託者である父の財産の運用等の成果を対価を負担せずに受益者である子が受け取った場合は、贈与税の対象となります。
3:誤り。著しく低い価額の対価で土地を譲渡した場合、譲渡時の時価と対価の額の差額が子が父から贈与により取得したものとみなされます。
4:誤り。離婚による財産分与の場合で、夫婦の協力によって得た財産の額のうち、社会通念上相当な範囲であれば贈与税の課税対象とはなりません。
問題53
遺産 の 分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.遺産の分割は、民法上、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うものとされている。
2.遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人はその分割を公証人に請求することができる。
3.被相続人は、遺言で、相続開始の時から1年間に限り、遺産の分割を禁ずることができる。
4.相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税法 上 、非課税所得とされている。
正解 1
1:正しい。民法第906条で遺産分割について、各相続人の事情を考慮して遺産分割するものとされていますので、題意に沿っています。
2:誤り。遺産分割協議が整わなかった場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをします。それでも、合意に達しない場合は、家庭裁判所の審判により遺産分割されます。
3:誤り。被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間に限り、遺産の分割を禁ずることができます。
4:誤り。遺産分割のために相続財産を換価して、他の相続人に支払うことを換価分割といいます。相続財産が不動産の場合は、譲渡益が譲渡所得として所得税の課税対象となります。また、分配された現金等は各相続人の相続財産となるため、相続税の対象にもなります。
問題54
次の費用等のうち、相続税の課税価格の計算上、相続財産の価額から債務控除することができるもの
はどれか。なお、相続人は債 務控除の適用要件を満たしているものとする。
1.被相続人が生前に購入した墓碑の購入代金で、相続開始時点で未払いのもの
2.遺言執行者に支払った被相続人の相続に係る遺言執行費用
3.被相続人に係る初七日および四十九日の法要に要した費用のうち、社会通念上相当と認められるもの
4.被相続人が所有していた不動産に係る固定資産税のうち、相続開始時点で納税義務は生じているが、納付期限が到来していない未払いのもの
正解 4
本問は、相続財産の価額から債務控除することができるものを特定する問題です。
被相続人が所有していた不動産にかかる固定資産税については、相続開始時点で納税義務が生じているが、納付期限が到来していない未払いものは、債務控除ができます。被相続人に納税義務があるものを死亡後に支払うことになるため債務は確定しています。よって選択肢4が正解です。
1:誤り。墓地・墓碑・仏具等は、代金が未払いであっても債務控除の対象となりません。葬儀費用は債務控除が可能ですが、お通夜、葬儀、告別式、火葬に直接関わらないものは対象になりません。
2:誤り。相続が発生することにより、遺言執行者費用が発生することから、相続人の負担すべき費用です。債務控除の対象となるのは、死亡時に確定している債務です。
3:誤り。社会通念上相当と認められるものであっても、初七日や四十九日の法要に要した費用は対象となりません。債務控除可能な葬儀費用とは、選択肢1の解説のとおりです。